明日から書く。

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

□ 図書館グーゴルプレックス □

エピローグ

「あっ!」
 突然すっとんきょうな声を上げ、リテミスが立ち止まった。
「ど、どうしたんですかリテミスさん」
「ひと仕事忘れてた。この本をマシンに入れないと」
 言いながら、リテミスが「書庫」から持ってきた本(「リブロシティ・タイムズ」と遊び紙に書いてある本)を内ポケットから取り出す。
 それを見たフェスエの顔が、あからさまに面倒くさそうになった。
「えー……なんでせっかくの余韻を台無しにするようなこと言うんですか……」
「仕方ねえだろ、仕事なんだよ! 書庫行くたびに一冊持って来なきゃいけないの!」
「はあ、大丈夫です、わかってます」
 ぱしぱしと自分の顔を平手で叩き、闘魂を注入して気分を入れ替える。
「よし! じゃあ行きましょう!」
 どうにか気力を奮い起こし、疲れ切った身体をなんとか動かして、二人は「検索室」と札のかかった部屋に入った。
 立ち上がった蒸気機関車のような巨大なオブジェが目に入る。
 その足下にあるゴチャゴチャとした操縦席に座るフェスエ。
 席の横のレバーを引き、フットペダルを踏み込む。
 そのとたん、オブジェが雄叫びを上げて目を覚ました。部屋全体が振動を始める。
 元気に蒸気が噴き出したり、プロペラが回ったりしている様子を見て、フェスエは満足のため息をもらした。今日も快調だ。
「起動よーし」
 フェスエがオブジェを指差し確認すると、席の横にあるモニターに文字が出た。
『検索条件を入力してください』
 フェスエがモニターに付属しているスイッチをひねり、「本を検索」から「宇宙を検索」に変えた。モニターの文字はこうなった。
『検索(宇宙)に用いる本を投入してください』
 フェスエが例の本を、キーボード横のポスト状スキャナーに投入した。
 そしておもむろに、人差し指をキーボードの大きめのキーの上に持っていく。
「けんさーく!」
 かちっとキーを押した瞬間、オブジェから爆発したような音がしたが、単にエンジンに火が入っただけである。
 がたがたと揺れる部屋のなか、リテミスとフェスエはオブジェに向かって手を合わせていた。今度こそ、うまくいきますように。
 しばらくすると、部屋の揺れが収まってきた。
 エンジンが完全に沈黙したのを見計らって、ちらっとモニターを見てみる。
『検索終了:該当件数0件』
 端的に結果を表すその表示を見て、二人はがっくりと肩を落とした。
 本に書かれた物語に含まれている情報から、物語の舞台とそっくり同じ宇宙を探し出す……そんな壮大かつ無謀な試みが失敗した瞬間だった。もうこれで今月何回目だろう。
 すでに十三万千七十一の宇宙と回線がつながっているが、どれも館長が探している世界とはほど遠いらしい。
 これがとんでもなく非効率的な方法だということは、リテミスやフェスエ、そして司書全員がわかっている。
 だが、図書館が造られた目的の一つがこれなのだから、仕方ない。やるしかない。
 肩を落としたまま、「検索室」を後にする二人。
「あ、嬢ちゃんはこの後レポート書かないとな」
「うげー、そうでした」
 トドメの一言に、フェスエはますます肩を落とした。
 うう、お客さんいいなあ。自分もお家に帰って寝たいなあ。
スポンサーサイト

*    *    *

Information

Date:2014/05/04
Trackback:0
Comment:0
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fluxcapacitor121.blog.fc2.com/tb.php/71-b878d365
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。