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執務室に潜む影

 エレベーターに乗り込み、四人は皇帝執務室に到着した。
 そこは広くて四角い部屋で、入り口の向かい側には第十三空洞のものと思われる地図(大きな本)が貼ってあり、その手前には堂々とした机が置いてあった。横の壁にはずらりと本棚が並び、その反対側の壁には服を納めるキャビネットがある。
 そして部屋の真ん中には、ホログラムの「黒い太陽」が浮かんでいた。
 ドアが開いて、リテミスがそろそろと頭だけを中に入れた。
「……誰も居ないな」
 音を立てないようにして、中に入る。
 頭を低くして油断なく辺りを警戒しつつ、腕を下から上に回して残りのメンバーを中に招き入れる。
 あとの三人もドロボウのような足取りで部屋に入る。
 例の老人も一応それに習っている。
 リテミスが部屋を見回して、警戒を解いた。
「参ったな、皇帝とやらはどこに行ったんだ。伝言を頼んでおいたのに」
 てっきりここに来れば会えると思っていたのに、どうすればいいんだ。
 頭をかくリテミスの肩を、老人がつっつく。
「伝言って、誰に頼んだのかね?」
「全身黒尽くめの男にさ。侵略艦隊にメッセージが来たときに。秘書か何かじゃないのか」
「侵略艦隊が乗っ取られた話は聞いたが、メッセージを送ったなんて報告は……待てよ、もしかして〈カルイデス〉じゃないか?」
 少し考えて、リテミスはその名前に思い当たった。
 空洞の都市で〈全知の書〉が盗まれたとき、黒服の男がそんな名前を口にしていたっけ。
「あ、ああ。そういえばそんな事言ってたな。『特務機関〈カルイデス〉が接収した!』とかなんとか」
 やれやれと首を振る老人。
「あいつらか! まったく暴走しおって、近頃では手のつけようがない。今回の空洞侵略にもヤツらが一枚噛んどったというわけだな。皇帝にすら内緒で動くとは、まったく!」
「へえー、清掃員なのに良く知ってるんだな? まるで皇……」
「あ、リテミスさんリテミスさん、リテミスさん」
 フェスエが突然割って入ってきた。
「一回でいいよ。どうした」
「あのキャビネット見てないですよ」
「えー?」
 確かに見てはいないが、相手は仮にも皇帝だ。あんな狭い場所にビクビクしながら隠れているとは到底思えない。
 普通はこう、「くっくっく、待っていたぞ勇者たち」とかなんとか言いながら、堂々と客人を出迎えてくれるものじゃないのか。
「リテミスさん、それは魔王です」
 顔を赤らめるリテミスの後ろで、おもむろに老人が動いた。
「わ、わたしが見てこよう!」
「え、でも」
 危ないから、と言う頃には、老人は手馴れた手つきでキャビネットの扉を開けていた。
 首を中に突っ込む。
「ふーむ、誰も居ないようだ……」
 と言いかけたところで、突然老人が中に引き込まれた。勢いよく扉が閉まる。
 
 
「な、なんだ貴様は! く、くそおっ」
 ガタガタとキャビネットの扉が揺れる。
「大丈夫ですか!」
 三人が駆け寄ろうとすると突然扉がちょっとだけ開き、老人が頭だけ出して叫んだ。
「く、来るなっ! こいつは強力な〈フォース〉を使う! こっちに来ると危険だ!」
 言い切ったところで、また中に引き込まれる。扉はちょっとだけ開いている。
「くそおっ、放さんかあ、ぬぬぬー」
 キャビネットを横から見ているので、中は全く見えない。
 急に足だけが飛び出し、しばらくバタバタしたかと思うと引っ込んだ。
 と思えば、上半身が外に出てくる。
 拳を振りかざし、中の敵をしこたま殴りつける。
「こいつ、このっ、参ったかっ」
 と、また引き込まれた。
「ぬぬぬ、わたしの〈フォース〉が強いか貴様の〈フォース〉が強いか……試してみようではないか! ほあーちゃあ!」
 なぜかはわからないが、服がポンポンと飛び出て床に散乱する。
 老人も飛び出てきた。床に転がり、荒い息をする。
 フェスエが駆け寄ろうとするが、それを片手を上げて制止した。
「ふ、ふふ、やるではないか。だが、まだだ!」
 すぐに起き上がり、勇猛果敢にキャビネットへ突っ込み、しっかり扉を閉める。
「でやあ! むむむ、とおっ! ほやあ!」
 しばらくガタガタと物音が聞こえたかと思うと。
 再び老人がキャビネットから勢いよく転がり出て、床に倒れこんだ。
 三人が急いで駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか!」
 フェスエに抱き起こされて、老人は力無く笑った。
「ふふ、なかなかの相手だった……」
 かなり衰弱しているらしく、激しく咳き込む。
「だが、逃げていった。もう安心だ」
 確かにリテミスがキャビネットの中をのぞくと、そこには誰も居なかった。
「え、どうやって逃げたんだろ」
 キャビネットの中には出口なんてどこにもないのに。
「ああ! その、それはだな。瞬間移動を使ったのだよ。〈フォース〉の秘伝だ」
 若干慌てぎみに老人が補足を加える。
「なるほど、そんな秘伝を使えるってことは……もしかして、あンたの戦ってた相手ってのは、皇帝なんじゃないか?」
「ああ確かに、そうだったな。そんな格好をしておった」
 リテミスは驚きに目を見張った。ただの清掃員が皇帝を倒したって?
 おいおい、ちょっとそれはないだろ。いくらなんでも。
 老人のそばにひざまづき、その目を覗き込む。
「なああンた、本当は皇帝……」
 なぜか老人が目をそむけた。
「の師匠か何かなんだな? その〈フォース〉とやらの。隠すなんてずるいぜオーイ!」
 大笑いして肩をたたく。
 老人はホッとしたように息を吐くと、
「あ、ああ。実はそうなんだ。あのバカ弟子め、精進が足らないな、ははは、は」
 と言って笑った。
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Date:2014/04/29
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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