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□ 我輩は猫探偵(ねこたん)である。 □

猫探偵とその助手、現場に戻る

 予告通り朝一番にたたき起こされた僕は、先生と一緒に現場を目指して歩いていた。
 もう少しで、僕たちが襲われた場所だ。
「ここら辺で、化け物に襲われたんですよね」
「そうだ。同じ場所でも夜と朝じゃ、だいぶ印象が違うものだな。よし、馬車の移動経路に沿って、何か落ちてないか探してみよう」
 僕たちはゆっくりと、地面をよーく観察しつつ歩き始めた。
「うーん、何も落ちてないですねー」
「ゴミばっかりだな。まったく」
 と、きらっと輝く何かを僕の目がとらえた。
「あっ!?」
「どうした!」
 走り寄って拾ってみると……。
「やった、一ペンスですよ!」
「真面目にやらんか、ワット君」
「すみません。にしても、こうやってかがみながら歩くと臭いがひどいですねえ」
「馬糞を片付けないからだよ、まるで馬小屋だ」
 そのまま、しばらく無言で証拠を探し続ける。
 が、ちょっと気になったことがあったので、僕が口を開いた。
「先生、ちょっと質問いいですか」
「なんだねワット君?」
「証拠って、具体的にはどんなのです?」
 先生は僕の質問を黙殺して、道路の表面を眺めている。
「先生?」
 先生は僕の呼びかけを無視して、道路の表面を眺め続ける。
 ちょっと待てよ、まさか。
「もしかして、これって行き当たりばったりですか?」
「なに? なんてことを言うのだ!」
 先生が急に激高してこちらを向いた。
 これは怪しい。反応が極端すぎる。
「行き当たりばったりなどではない! 特に何が見つかるか予想は立てていないが、何かが見つかる可能性は否定できん!」
 うわ、なんだか無駄足に終わりそうな予感。
「そう、ですか。何か見つかればもうけものなんですね?」
 痛いところをつかれた、と先生がちょっとひるむ。
「ま、まあそうだ。というか、何が見つかるかわかっているなら、あえて探しに来ることもあるまい。そうだろ?」
「うーん……まあそうですね」
「ほらな。それじゃ、調査再開だ」
 またしばらく僕たちは、地面を眺めながらウロウロ歩き続けた。
 
 
 そろそろ歩くのにも疲れてきたころ。
「お花を買ってください」
「うわあっ!?」
 急に耳元で耳慣れた文句が聞こえてきたので、僕は地面にすっ転んでしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
 だが、その気遣わしげな声の主は、あの化け物などでは無かった。
 年齢は同じくらいだろうが、どうやらこっちは男の子らしい。
「ああ、ごめん。ちょっとびっくりしちゃって。その、ちょっと油断してたから」
「はあ……?」
 要領を得ない様子の、花売りの男の子。
「おい、どうしたワット君! なんか叫び声とか転んだような音が聞こえたぞ」
「ああ、いえ、なんでもないんです」
 駆け寄ってきた先生が、僕の隣に立つ男の子に気づく。
「はて、きみは誰かな。花売りかね?」
「そうです」
 先生がこっちに呆れ顔を見せた。
「ワット君、きみは花売りの男の子にビックリ仰天して、歩道を転げ回ったりしたのか?」
「いえ、転げ回ってはいません」
 転んだのは本当だから、そこまで強くは言えませんが。
 先生の耳に口を寄せて、小声で説明する。
「ほら、あの化け物も、ちょうどこんな感じの子でしたから」
「ああ、なるほど」
 僕が先生から離れると、先生は男の子をじっくり観察し始めた。
「……確かに、顔色の悪さまでうりふたつだ。きみ、ちゃんと食事は出来てるのか?」
「いえ、あまり……」
 答えにくそうな男の子の様子を見て、先生が片手を挙げる。
「いや、すまなかった。気にしないでくれ。行こうワット君、もう少しでゴールだ」
「あ、はい! それじゃ、ごめんね」
「いえ」
 僕が男の子に手を振ると、向こうはぺこりと頭を下げた。
 男の子から十分離れたところで、先生が小さな声で僕に不平を言う。
「孤児がみんなあんなに顔色が悪いんじゃ、あの化け物が混じってても目立たんだろうな。道理で、特に怪しまれないで行動できたわけだよ」
 やれやれ、そろそろ政府がなんとかしてくれないと。「救貧院」なんて監獄より非道いってウワサだしなあ。
「おお! あったぞ!」
 横で先生が突然大声を上げたので、僕はそっちを向いた。
「何があったんですか?」
「ああ、ほら、指だ」
「なるほど、切断された……指……」
 僕の意識はそこで一度途切れる。
 
「ワット君! ワット君!」
「あ……先生……」
 僕は路上でひっくり返ってしまっていた。
「寝るならベッドの上のほうがいいぞ、ここは固いし臭い」
 路面に打ち付けたせいで、あちこち痛む身体を起こす。
「あたた、なんか急にすごい怖い物を見せられたような」
「ああ、これか? 切断された指だが」
「なるほどー……」
 僕はまた意識を失った。
 
「ワット君! ワット君!」
「あ……僕、どのくらい寝てました?」
「大体三十秒くらいだ。で、何を見たか覚えてるか?」
「あの、指を」
「その通り、これだな」
 目の前に、ずい、と切断された指が出てきた。
「ふー……」
 また意識を失いかける、が。
「ワット君! さすがにもう三度目は勘弁してくれ!」
 先生の大声で、どうにか意識を保つことに成功した。
「な、なんとか大丈夫そうです」
「良かった。それにだな、これはそんなに怖い物ではないぞ、ワット君」
 え、それは先生にとってバラバラ死体なんて日常茶飯事だぜってこと?
「そんな顔で見るな! 違うんだ、これは人間の指なんかじゃない!」
「え、違うんですか?」
 それならそうと早く言って欲しい。
「そうとも。はい指」
「どうも。……うーん、やっぱり人間の指にしか見えませんけど」
「表面はな。断面を見てみたまえ」
 僕は言われた通り、(気は進まないながら)指の断面を見てみた。
「あれ? これ、ゴムですか? それと金属」
「その通り。そして、この地点で指を落としそうなのは、誰だと思う?」
 僕はちょっと考えてみた。
 そうだ、決まってるじゃないか。
「あの化け物の指なんですね!」
「その通り! ワット君が手に銃弾を当てただろう、その時ちぎれたに違いない!」
 確かに、僕は化け物の手を偶然撃っていた。
「じゃあ、あの化け物の正体は」
「ああ。まだ確実ではないにせよ、これはきみの仮説を支持する証拠だろうな」
 僕たちは指を大切にポケットにしまいこみ、アパートに戻った。
 
 
「あ、お帰りなさーい! 何か見つかった?」
 アパートの前で、大家さんが出迎えてくれた。
「ああ、最高の物証を見つけたよ。ほら、これだ」
 先生がポケットから指を出して、大家さんに見せる。
「え、これって、指……?」
「その通り。切断された指だ」
「あー、なるほどねー……」
 大家さんは意識を失い、路上にぶっ倒れてしまった。
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Date:2014/04/27
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Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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