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□ ゾンビ同居中Z。 □

【#4】関係性ミリオンアンサー

「わーい! たーのしー!」
 ノートパソコンの前で(真っ白な肌に血管の浮いた)両手を挙げて叫ぶロメ子。
 その後ろでカバンを肩にかけながら、西田井が言う。
「ロメ子さん。それ何回観るんですか」
 人差し指を立てて不敵に笑うロメ子。クマがかなり濃いが、それはいつも通りである。
「ふふふ。ジャパリパス1540円(一ヶ月有効/税抜き)を手に入れたわたしにもはや死角なし。何度でもパークを周回してやる心づもりなのです。特に1話に張られた最終話への伏線は――」
「じゃあいってきます」
 話の途中で、西田井がドアを開けて出て行った。
「――たつき監督ありがとう、って、あれえ!?」
 若干遅れてロメ子が西田井の不在に気付く。ちょっとふくれっ面をした後、パソコンの画面に注意を戻した。
 そんな彼女の頭上で、二人の様子をリカが天井につかまったまま見つめていた。



第四話【関係性ミリオンアンサー】



 お昼。
「ふう。だいぶ観たとね」
 謎の達成感に満ちた笑みでロメ子が一息吐き、おでこをぬぐった。
『ねえねえお姉ちゃん』
 突然、何かに背中を突かれた。
「えひゃ!」
 身体が跳ね、変な声が出てしまう。
 振り返るとリカが居た。
『ちょっと聞きたいことがあるんだけど……』
 もじもじと長い舌を振るリカ。よだれが飛ぶ。
 ちなみにこの言語は丁ウイルスに感染した者にしか分からない。
 また雑巾を用意しなきゃ、と思いながらロメ子が小首を傾げる。
「なあに?」
 一拍置いた後、リカがロメ子との距離を詰めた。
『お姉ちゃんってさ、西田井さんが好きなの?』
 ロメ子は全身が硬直し、さながら本物の死体のようになった。


 加尾長技術科学大学内、学生食堂。
「油そばばっかり食ってて飽きない? 板ちゃん」
 そういう自分も油そばをすすりながら、西田井が板石に聞いた。
「いや飽きないぞ。あ、お酢とって」
「はいよ」
「サンキュー」
 板石がお酢を油そばのどんぶりに垂らす。
「こうやって味を変えれば飽きない」
「……いや、別のメニュー頼めばいいじゃん」
 ずるずる、とお互いに麺を一口すすって、咀嚼する。
 お酢でむせたのか、板石がちょっとむせた。水をひとくち。
 コップを置く。
「そういえばさ、西田井」
「なに?」
 西田井もコップの水を飲みながら答える。
「お前ってロメ子さんが好きなの?」
 コップを傾けた姿勢のまま、西田井が静止した。


「ぜ、ぜぜぜ全然ぜんぜんそんなことなかとよ!? ゲホッゲホッ」
 ロメ子が赤い(?)顔で、両手をぶんぶん顔の前で振って見せる。そしてむせる。
『えーその反応、お姉ちゃん怪しいー』
 片手の爪を口の前にやって、クスクス笑うリカ。


「い、いやいやいやいやそんなことないよ!? ゲホゲホ」
 西田井が赤い顔をして、両手をぶんぶん顔の前で振って見せる。そしてむせる。
「えーその反応、怪しいぞお前」
 片手で口を押さえながら、くつくつ笑う板石。


『実はね、ちょっと心配だったんだ』
 長い舌を揺らしながら、リカが言う。よだれが床に飛ぶ。
『わたしがここに居ると、二人がイチャイチャできないんじゃないかなーって』
 少し過呼吸がおさまったロメ子が、ごほんとひとつ咳をした。
「ち、違うのよリカちゃん。わたしはただの居候で、西田井さんは良い人だからわたしを置いておいてくださってるだけで、別にそういう関係ではないの」
『えー? お姉ちゃん顔赤いよ? それに良い人だったら好きになるのも自然だと思うなー』
 ロメ子がリカの肩(筋肉が露出している)を軽く小突く。
「もう。やめてよリカちゃんったら」


「いや実はな、ちょっと心配だったんだよ」
 追加のお酢を垂らしながら、板石が言う。
「二人の関係が進展したみたいな話を全然聞かないし、お前EDなんじゃないかってな」
 少し過呼吸が収まった西田井が、ごほんとひとつ咳をした。
「ち、違うんだよ板ちゃん。ロメ子さんはただの居候で、俺は良い人だからロメ子さんを置いておいてあげてるだけで……」
 そこでちょっと顔をしかめる西田井。なんだか未知の力を感じる。
「まあとにかく、そういう関係ではないんだ全然」
「顔赤いぞ? それにロメ子さん可愛いじゃん。好きになるのも自然だと思うけどな」
 西田井が板石の肩を軽く小突く。
「やめてよ板ちゃん」


 夕方。
「ただいまー」
 西田井が帰宅した。ドアを開けたとたん、ロメ子と目が合う。
「た、ただいま」
「お、お帰りなさい」
 ぎこちない会話を交わす二人。最近はあまり無かった、気まずい沈黙が漂う。
 西田井はギクシャクと歩き、机の上にカバンを置いた。その間ずっと、ロメ子が座布団を抱えたまま西田井を注視し、一定の距離を保っている。おびえた子犬かなにかのようだ。
「……えーと、どうでした? けもフレ」
「え?」
 ロメ子が座布団を置いた。
「さ、最高でしたよ? た、たーのしー」
「それは良かった」
「ええ」
「うん」
 再び沈黙。顔を見合わせたまま、硬直する。
 二人同時にはっと気がつき、声を上げた。
「「夕飯にしますか!」」
 いそいそと用意を始める二人。リカが天井から見守っている。
 準備をしながら、西田井の脳裏にはある言葉がリピートしていた。
 お昼の会話のとき、板石に言われた言葉。


「じゃあさ、俺がロメ子さんに告っても良いってことだよな」


(結局あれは冗談だったけど……)
 西田井は胸元の服をぎゅっと掴んだ。
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Date:2017/04/22
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