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□ ゾンビ同居中。 □

【#1】家で誰かが死んでいる ギャア! ギャア! ギャア!

 くわがた県。かおなが市。
 
「うー、さぶさぶ……」
 寒い上に暗い通学路を走り通した少年は下宿にたどり着き、自転車を駐める。
 大学の研究室でデータをまとめていたら、思ったより遅くなってしまった。
 下宿の周りはもう真っ暗だ。
 生協のビニール袋(弁当とお茶入り)を抱えて玄関をまたぎ、靴をそろえて置く。
 と、そこでぴたりと止まった。
「部屋のカギ、閉めてないじゃん」
 一瞬、しまった……と思ったが。
「まあ、泥棒もいねーだろ」
 安心して廊下を歩き出す。
 言っては悪いが、大学の周辺は相当の田舎である。
 というか、大学が山の中腹に建っているくらいなのだ。周辺に民家もあまり無い。
 これだけ人がまばらに住んでいれば、泥棒を志す人間の数だって劇的に減るハズである。
 たぶん、大抵は農業とか中古車販売とかパチンコ店の経営をして暮らしているのだろう。
 それに「家のカギを閉め忘れて泥棒に入られた」などという話を、少年は同級生や先輩、後輩の誰からも聞いたことが無かった。
 田舎暮らしのメリット、と言っていいものかどうか。
 ぼんやりと考えをめぐらしつつ、自分の部屋の前に立つ。
 ノブを回し、ドアを開けた。
「たっだいまー、と……」
 なんと、部屋の電気が点いていた。

 そして部屋のド真ん中に、死体が転がっていた。
 
 少年はドアを閉めた。
 
 
 
第一話【家で誰かが死んでいる ギャア! ギャア! ギャア!】
 
 
 
 どうしよう。どうしよう。
 少年は閉まったドアに背中を預けながら、悲鳴を上げそうになる心をどうにか落ち着かせようとしていた。胸に置いた手が、大げさにわめき立てる心臓の鼓動を伝えてくる。
 死んでいた。間違いなく死体だった。あんなにわかりやすく血色の悪い死体もそう無いだろう。死んだ魚のような色をした両目は開きっぱなしで、目が合ってしまった。
 なんでセーラー服の女の子が、わざわざ自分の部屋の真ん中で死んでいるんだ?
 それに、いつだ? いつ入り込んだんだ?
 少年は朝に大学へ出かけて今帰ってきたところだから、その間なのだろう。
 行き倒れなのか?
 少年は死んでいた少女を知らない。向こうだって自分を知らないハズだ。
 ならば、少女がこの下宿に来たのは単なる偶然で、たまたまカギの開いていたこの部屋に転がり込んだのだろう……。
 いや待て、ホントに知らない娘だったか?
 少年はドアを開けようと背中を離したが、すぐに思いとどまって戻った。
 やめておこう。死体なんてもう見たくはない。
 そこで、はっ、と当たり前の事に気がつく。
 そうだ警察だ! 110番通報しないと!
 とにかく自分には非は無いわけだし、通報すれば警察が片付けてくれるだろう。
 震える手で携帯電話をポケットから取り出し、二回ほど番号を間違えていたとき。
 
 どんどん!

「ぎゃああッ!?」
 急に背中が叩かれたので、少年は驚いて携帯を落としてしまった。
 今までも十分頑張っていた心臓がムチで打たれたかのごとくさらに鼓動を速め、頭の周りでどくんどくんと血管が鳴る。
 今、ドアが叩かれた。
 部屋の内側から。
 そんな馬鹿な!
 
 どんどん! どんどん!
 
 ああ、もう否定することは出来ない。さっきので終わってくれれば、まだ幻聴とか記憶違いに出来たのに。
 完全に叩かれている。ドアは叩かれている。
 中には死体しか居ないのに。
 死体しか居ないのに。
 誰が叩いてるって言うんだ?
 全身の体温がゆっくりと、一度ほど下がったような気がした。

 どんどん! どんどんどん!

 やめてくれ、叩かないでくれ。
 少年は頭を抱え、悪夢が去るのを待つ。

 どんどんどん! どんどん!

 ああ、悪夢よ覚めてくれ、今すぐに。

 どんどんどん!
「開けてくださーい!」
 
 そうとも、この目を開ければいつもの朝で、死体なんて無くて……あれ?
 
「開けてくださいってばー!」
 少年の後ろから女の子の声がした。
 亡霊という感じでは無い。というか、普通の、同年代くらいの女の子の声である。
 少年は頭を上げた。
 生きてる!
 そうか、じゃああれは死体じゃなくて、寝てただけ?
 見間違いだ。光の加減とかそういう感じのアレで、とにかく見間違えたのだ。
 少年はやれやれ、と首を振った。
 まったく死体だなんて、さっきまで何を考えていたんだろう、俺は?
 疲れてたのかな。うん、きっとそうだ。
 安堵で全身の力が抜けるのを感じながら、ドアから背中を離す。
 少年が背中でふさいでしまっていたために、ドアが開かなかったのだ。
 頭に片手を置いて、謝りながらドアを開けた。
「すいませーん、ちょっとびっくりしちゃったもので」
「あ、そうだったんですかー」
 死体がにっこりと笑っていた。
 少年はその場に崩れ落ち、慈悲深い眠りの底に落ちていった。
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Date:2014/05/20
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