明日から書く。

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

□ 涼宮ハルヒの憂鬱VSドクター・フー □

そろそろ終わり

 ゾンビーズwithドクターfeaturingカサンドラの皆さんが帰ったのは、翌日の昼過ぎになってからだった。
 もうゾンビは先にドアから出ているので、玄関にはドクターと長サンドラだけだ。
 玄関に立って元気良く手を振る妹と、その横に立って前後に手を振る俺。
「じゃあそろそろ行くよ、キョン! ……くん。それに麗しいリトルレディーも」
 俺は無言で手を振る。
「うん、バイバイジョン! また会おうね!」
「ああきっとだ」
 ドクターが妹の髪をくしゃくしゃとなでる。
「きゃー」
 ああもう、はしゃぐなはしゃぐな。
 その様子を見かねて、長サンドラが横から口をはさむ。
「ちょっとドクター……おっほんスミス、そろそろ行くわよ」
「そうだな、外に居る教員の皆さんが警察に見つかるとマズい」
 ドクターは妹から離れて、ドアノブに手をかけた。
 妹は長サンドラに手を差し出す。
「じゃあね、有希……じゃなかった、カサンドラさん」
「ええ、また会いましょう」
 固く手を結ぶ二人。
 ドクターがドアを押し開き、外の光が目に刺さる。
「じゃ、また!」
 さっと手を振ると、ドクターと長サンドラは光の中に駆け出し……。
 ドアは閉じた。
 俺たちは手を下ろすと、玄関から引き返し始める。
 ようやく、長かった冒険も終わりだな。
 おい妹よ、目が赤くないか。
「あっそういえば、有希ちゃんにお姉さんがいるなんて意外だったねー!」
 そうだな、幼いころ離婚したあげくアメリカに亡命した父親についていったおかげで、双子の妹の有希とほとんど会うこともなかったけど最近偶然で感動の再開を果たした長門カサンドラさんか。
 俺はこのハードな設定を長門に伝えにゃならんのか。頭が痛い。
 にしても、ドクターの使ってた偽名が妙に耳に残る。
 ジョン・スミス……いつか使ってみようか。
 って使えるわきゃないよな。あほらし。
 寝ようっと。
 
 
 たっぷり寝たはいいものの、学校までのクソ長い坂を登るのはやっぱり疲れる。
「よおキョン! 一昨日さー、なんか変な夢おぶっ」
 なぜか手まで痛いし。まったくやれやれだ。
 教室に入ると、定位置にハルヒが座っていた。
 なんか久しぶりだな。ものすごく一日が長かった気がする。
「おっす」
 俺のあいさつをハルヒは受け流し、不機嫌そうに窓の外を見ている。
 いつも通りだな。
「なに見てんのよ、バカキョン」
 別に。
 いつものように授業を受ける。
 後ろから漂い来る不機嫌そうなオーラも今日は気にならない。
 殺人鬼におびえるよりゃマシってもんさ。
 だが。
「ねえ、なんであんた昨日休んだの?」
 珍しく小声でハルヒが尋ねてきた。小さいのに、やけに重苦しい。
「聞いてないのか? 風邪だ」
「ふうん……有希も似たようなこと言ってたわね」
 それきり黙りこむハルヒ。
 いかん、オーラの圧力が強すぎて吹き飛ばされそうだ。
 
 
 放課後になると、俺は教室に残ってハルヒの説得にかからなくてはならなくなった。
 あのな、お前は大きな勘違いをしている。
 俺と長門が夜の学校で逢引だと? 確かにやってみたいことは否定しない、ゴホン!
 そうじゃなくてだな。お前が思っているようなことは一切起きちゃいない、いいか? あの日の朝俺は急に体調を崩し、熱を測ってみればおおなんと生まれてから一度もマークしたことのない39度フラット。なんてこったこれじゃ寝てるしかない、かくて俺は両親に学校への連絡を任せ、ベッドに横たわって体調の改善に努めたってわけだ。長門が昨日休んだってことすら、俺は今日始めて知ったんだ。
 まこと、真実とは明らかになってみれば……。
「嘘おっしゃい」
 おい、まだ途中だろ。ていうか今回のはそんなに嘘臭くもないはずなのに。
「だって、明らかに変でしょ? 休んだ日が同じ、連絡してきた時間がほぼ同じ、しかも熱の温度も同じ。バカにされてるとしか思えないわ」
 え、ちょっと待て。休んだ日以外はマジで偶然だぞ。
「よし、行くわよ」
 燃え上がる怒りを秘めた表情で椅子から立ち上がるハルヒ。
 まさか、電気椅子に続くグリーンマイルをか?
「部室に決まってるでしょ。バカ言ってないでついてきなさい」
 まずいな、マジで殺されるかもしれん。
 
 
 トイレに寄ってくるというハルヒを残して先に部室に着くと、案の定宇宙人、未来人、超能力者の三人が待っていた。
 これまた懐かしい感じだ。宇宙人以外はな。
「やあ、風邪だと聞いて心配していました。もうお身体のほうは?」
 いつもの笑みを顔に貼り付けて(形だけでも)俺の具合を気にかける小泉。
「ああ、もう大丈夫だ」
 小泉は軽くうなづく。
「あの、もう出て来て大丈夫なんですか? 無理しないで寝てたほうが……」
 おお、今日も麗しい朝比奈さん。こちらは本心から心配しているとわかる。
「ええ、もう何にも心配いりません。すっかり健康体ですよ」
 ほっとした笑顔を見せる朝比奈さん。なんていい人なんだ。
「もう大丈夫と聞いて安心した」
 いつもと同じ無表情の長門。嘘つくときも便利だな。
「ああ、お前も風邪だったんだってな。治ってて安心したよ」
 微妙に顔の角度が傾く。うなづいているんだろう。
 それぞれ、部室内での定位置につく。
 長机にオセロを置きながら、小泉が向かいに座った。
 部室も何事もなかったように直ってるな。サンキュー長門。
「さて、では僕が先攻でよろしいでしょうか?」
「ああいいぞ」
 小泉は黒の石を取り、俺は白の石。それぞれボードの真ん中あたりに置く。
 朝比奈さんが置いてくれたお茶をすする。うん、今日もうまい。
 二つずつ置いたところで、小泉が黒の石を一つ追加し、白を裏返した。
「本当はおととい、なにがあったんです?」
 俺はお茶を吹いた。
 
 
 結局、俺は二人にあらましを説明する羽目になった。
「へえ、それはそれは……」
「ほー……」
 説明が終わったあと、二人はなかなかの奇天烈具合に驚いているようだった。
 そりゃまあ、そういうリアクションになるわな。
 少し間を置いて、小泉が額に手を当てながら言った。
「呼んでくださればよかったのに!」
 お前、本気で悔しそうだな。
「なかなか面白そうじゃないですか、ねえ?」
 急に同意を求められた朝比奈さんが「え、そうですか!?」と驚く。
「だって白衣姿でドクター気取りの彼なんて、金輪際見れないでしょうからねえ……」
 そこかよ。
 あと朝比奈さんも納得しないでください。
「それにしても、なにか事情があって僕らを呼べなかったんですか? いつもは呼ぶのに」
 ん? 確かにそうだな。えーと、なんだったっけ。
「ああそうそう、通信回線がふさがってたんだ。ダーレクに見張られてて、学校から外に通信は出来なかったんだ。俺に電話するのが精一杯だったんだと」
 俺の言葉を聞いた小泉が、じわじわと怪訝な表情になる。
「そう、ですか……」
 そのまま、うつむいて考え込む。
「どうした」
「いえ、おととい学校に居た機関員からの定期連絡は一度も途絶えてないものですから」
 そうか、学校にも「機関」の人間が潜伏してるんだったな。
 俺も理由を考え始めたとき、長門が突然口を開いた。
「全ての通信が遮断されるわけではない。学校に人を呼ぶような内容でなければ、むしろ遮断しないほうが賢明」
 小泉が顔を上げた。
「なるほど、変に遮断しても怪しまれるわけですね。機関員も祝日は遅くまで残っていませんし、なにも気づかなかったのも道理です」
 いつもの笑顔に戻る。
 確かに納得できる。でもなぜか、俺の胸にしこりのように残るものがある。なんだ?
 そのときドアが弾け飛ぶように開いて、ハルヒのハイビスカスみたいな笑顔が現れた。
「みんな揃ってるー!?」
 ずかずかと部室に入り、団長席に陣取る。
 そしてこちらを見渡してから、一言。
「これから『第一回SOS団チキチキ! おととい学校でなにが起こったのか! この際洗いざらい話してもらおう嵐の大尋問大会~!』を行います!」
 ハルヒが拍手を始めると、小泉と朝比奈さんも拍手し始めた。
 いや、その企画は誰が得をするのかご説明願いたい。
「有希! おとといなにがあったのか、正直に言いなさい! これは団長命令よ!」
 げ、俺じゃないのか。
 こいつは積極的に嘘をつくのはそんなに得意じゃなかったはず。
 フォローを入れようと口を開きかけて、団長様の視線の圧力に気づく。
 いかん、なにか言っちまったが最後、俺は二度と日の目を見れないかもしれん。
 固まる俺を尻目に、長門がついに話し始めた。
「おとといは……」
 そこで止まる。ああいかん、これでは余計不自然ではないか。
 なんでもいいから話せ! と顔の動きでうながす。
 長門から「話してもいいの?」とアイコンタクトで返ってくる。俺はちょっとうなづく。この間ゼロコンマ一秒。あとは任せたぞ。
 再び長門が口を開いた。
「おとといは夜中の学校で、とてもエキサイティングな出来事があった」
 再び固まる俺。
 こっちを見てうなづく長門。やりきった表情だ。
「なああるううほおおどおおねええ」
 いかん、この地獄の釜の底から聞こえてきそうな声色は、ハルヒさんではないか。
 俺は脱兎のごとく部室を後にしようとしたが、それは出来ない相談だった。
スポンサーサイト

*    *    *

Information

Date:2014/05/15
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fluxcapacitor121.blog.fc2.com/tb.php/119-316f5105
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。