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□ 涼宮ハルヒの憂鬱VSドクター・フー □

本当にドクターがWiiでテニスしてて驚いた(11代目)

 色紙をほとんど抱きしめるように持った長門と、校庭を後にして歩き出す。
 ようやく家に帰れるってわけだ。やけに疲れた。
 大変な一日だったぜ。
 今までも変な出来事はイヤというほど経験してきたが、そのなかでもトップテンに入るメチャクチャさ加減だろう。
「そういえば学校って元に戻るのか? 結局先生方もどっか行っちゃったぜ」
「定期的にバックアップを取ってある。一昨日のデータからパッチを当てて修復する」
 そうか、さすが手抜かり無しだな。後始末までやらせてすまん。
 ふと気づいて、長門に治療してもらったあたりをさする。痛みは全然無い。
「……ありがとうな、今日はいろいろ」
 一拍置いて答えが返ってきた。
「いい。それに、感謝するべきはこちらのほう」
 そうか、いいやつだお前は。
 だが、ふと谷口のバカのセリフを思い出してしまった。
「あー、あと、そのー、だな。谷口の言ったことは……」
 ああくそ、こういうときなんて言えばいいんだ?
 俺が口ごもっていると、長門に先手を打たれた。
「大丈夫。気にしてない。嘘も方便。大丈夫、大丈夫、大丈夫」
 大丈夫が多すぎて心配だぞ。
「その……お前はすごくいいヤツだ。好きか嫌いかで言えば好きだ。でもな、その」
 また口ごもってしまう。照れくさいというか、情けないというか。
「……ちょっと、わからないんだ、どう思ってるのか。まだ返事が出来ない。すまない」
 ああ、結局口から出るのは逃げの典型みたいな文句ばかり。まったく自分のおそまつさにため息が出るぜ。
 俺がうつむくと、長門はちょっと微笑んだように見えた。本当だって。
「いい。待つ時間はある」
 すまん、本当に。
 地面がアスファルトに変わったことを足の平で感じながら、もうしばらく歩く。
 学校を後にするとき、校門を振り返ってみた。
 改めて、まったくヘンテコな一日だったな。
 今日は未来人やら宇宙人やら異世界人やらに囲まれて……ていうかそんなヤツらしか居ない環境にずっと置かれてたんだもんな。
 ちょっとまった。
 それっていつもと同じじゃないか。異世界人が居ないってだけで。
 今日はたまたまルックスや言動がわかりやすかっただけで、俺は毎日毎日、SOS団で出会い続けてるじゃないか。この学校で。
 宇宙人。
 俺に笑顔でナイフを向ける委員長。
 未来人。
 同一人物がふたり、同時刻に共存する。
 超能力者。
 灰色の閉鎖空間に神人。
 そして神と呼ばれるあいつ。
 五分前に創造されたかもしれない世界。
 この世界。
「なあ、長門」
 気づけば、俺は長門に話しかけていた。
「人生ってなんなんだろうな?」
 最近はどうも普通の人生観を揺さ振られるような出来事が多すぎる。
 長門は黙ってしまった。
 しまった、いくらなんでも抽象的すぎるよな。俺でもこんな質問されたら困る。
 つーか厳密には質問ですらない。単なるため息だ。
 忘れてくれ、と言いかけたとき、長門が口を開いた。
「ドクターが興味深いことを言っていた。人生はグレープフルーツみたいなものだと」
「ほう、その心は?」
 ちょっと考えてみたが、全然予想がつかない。
 長門は迷うように、ちょっと間を置いてから続けた。
「オレンジがかった黄色で、外側はぶつぶつしていて、中はびちょびちょしている。タネも入っていて、朝食に半分食べる人もいる」
 今度は俺が黙る番だった。
「とにかく、ドクターは自身満々だった」
 弁解するような口調の長門。
 うん、たぶんそれジョークだ。
 
 
 いつもの交差点で長門と手を振って別れ、俺も家に向かって一人で歩き出した。
 長門はだいぶフラフラしてたから、明日学校を休むかもな。
 まあ、地球を救ったんだからそれぐらいしたってバチはあたらんだろうさ。
 見上げれば、空には満天の星。
 何十億、何百億、いやそれ以上の燃える星が一度に見えている。
 そしてこの地球も宇宙空間に浮きながら時速千七百キロメートルで自転し、さらに太陽の周りを時速十万七千キロメートルで回転していて、さらにさらに、太陽系も銀河の中心の周りを時速七十九万キロメートルで巡っていて、そしてその銀河全体もうみへび座の方向に飛んでいて……。
 そんな調子で全てが運動し、変化している。それがこの宇宙だ。
 というわけなので、俺も明日休むことにする。
 宇宙の大きさに比べれば、一日休んだところでのデメリットなんざちっぽけなもんさ。
 考え事をしているうちに家に着いた。
 ドアを開ける。
「キョンくんおかえりー」
 ありゃ、妹がなんで起きてるんだ。
「おいおい、もう一時だぞ」
「先生たちとゲームしてたの」
 パジャマ姿でか? 先生って誰だ?
 と聞く前に、その「先生」が廊下にひょっこり出てきた。
「やあはじめまして、きみがキョン君だね」
 笑顔のドクターが、Wiiリモコンを握ったまま玄関前に立っている。
 きちんとストラップを手首に巻いているから、振り回しても安心だ。
 あんたがなんでここに、と俺が言う前に、向こうが喋りだす。
「今日飛行機で日本に着いたんだけど、ホテルのミスで泊まれなくなってね。そのことを話したら、こちらのお嬢さんが可哀相だから泊めてあげてって。実に優しい妹さんだ」
 ねー、とドクターが妹に言うと、妹もねー、と返した。だいぶなついてるらしい。
 いやいや、と俺が言いかける前に、向こうがパスポート入れを開いて俺に見せる。
「ワタクシこういう者です」
 なになに、北高の臨時英語教師だって!?
「そうそう、英語教師なんだ。前の先生がちょっと病気になっちゃってね」
 俺にウインクしてよこす。黙ってろってか。
 妹が先に部屋に戻ったので、俺はドクターに小声で質問してみた。
「にしても、その『ジョン・スミス』ってのはなんです」
「いつも使ってる名前さ。地球人に本当の名前は発音できない」
 なるほどな、考えてみりゃ宇宙人の本名が英語圏の名前ってのも変か。
 後で長門に聞いたところによると、あのパスポート入れは「サイキックペーパー」で、見せた相手に見せたいものが見せられるんだそうだ。つまり万能パスポートか、俺も一冊欲しいもんだ。
「ちょっとターディスが故障しちゃって、修理が明日までかかる。無理させすぎたせいで色々直すところが多くてね。だから悪いけど、一日泊めて欲しいんだ」
「ターディスの中で暮らせるでしょうに」
「でも退屈だ」
 肩をすくめるドクター。
 我慢しろ、と言いかけたところで、妹の声にさえぎられた。
「ジョーン! もう試合始めちゃうよー!」
「はーいいま行く! じゃ、また後で。いまテニスで九連敗中なんだ」
 ドクターは元気良く答えると、部屋に引っ込んだ。
 すぐに楽しげな笑い声が聞こえてくる。
 俺はもう寝よう。
 だが、階段を数歩登ったところで足が止まる。
 なんか笑い声の人数が多くないか?
 おそるおそる部屋をのぞくと……居た。
 中にゾンビがわんさか居て、めいめい携帯ゲームをしたり、寝そべったり、床に袋を開いたポテチを置いて食ったり、ドクターと妹の試合を応援したりしていた。
 ずいぶん楽しそうだ。
 呆然と立ち尽くす俺の後ろから声がした。
「あ、おかえり。ビールもらってるわよ」
 長サンドラはそれだけ言うと、俺の横を抜けて部屋の中に入り、台所でくすねたビールを持ってWiiリゾートを見物し始める。また試合が始まるところだ。
「よおし! 言っておくが、僕は最初っからクライマックスだ!」
 舌なめずりをして、意味のわからない気合を入れるドクター。
「ふふん、またわたしの勝ちに決まってるよ!」
 と言いつつリモコンをしっかり構え、手を抜くつもりの全く無い妹。
 試合が始まると、歓声や野次が四方八方から飛んでくる。
 俺は我を取り戻すと、こう叫んだ。
「帰れええええええ!!」
 そして諦めて布団に入り、夢の世界に逃避することにした。
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Date:2014/05/15
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